地方の呼吸器内科医ブログ

呼吸器内科です。今は肺癌に関わる記事を中心に書いていく予定です。

KYENOTE407試験長期フォローアップデータ+リアルワールドデータ

J Clin Oncol. 2023 Feb 3;JCO2201990.

doi: 10.1200/JCO.22.01990.

 

JTO Clinical and Research Reports Vol. 4 No. 2: 100444. DOI:https://doi.org/10.1016/j.jtocrr.2022.100444

 

KEYNOTE-407試験長期フォローアップデータがJCOから、アメリカでのリアルワールドデータがJTOから出ていました。

全体集団におけるOS中央値が、KEYNOTE-407では17.2ヶ月に対して、リアルワールドデータでは15.3ヶ月で、何れもPD-L1の発現に関わらずOSが有意に延長していたとの事です。

KEYNOTE-407でPembrolizumab 35サイクル完遂出来た人のresponse rateは90.9%、ランダム化後の5年生存率は69.5%と長期生存が得られている結果でした。 

 

切除不能・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する標準治療として揺るぎない感じですね。

 

Pembrolizumab Plus Chemotherapy in Squamous Non–Small-Cell Lung Cancer: 5-Year
Update of the Phase III KEYNOTE-407 Study

第III相であるKEYNOTE-407試験の5年間の有効性と安全性の結果について報告する。

対象は、前治療歴のない転移性扁平上皮非小細胞癌(NSCLC)患者で、ペムブロリズマブ200mgまたはプラセボとカルボプラチンとパクリタキセル/ナブ-パクリタキセルを3週毎4サイクルして、最大35サイクルまでペンブロリズマブもしくプラセボを続ける治療に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)とし、RECISTバージョン1.1で盲検独立中央審査(BICR)により評価された。
559人の患者を無作為にintention-to-treat集団で割り付けされた。(ペムブロリズマブ+化学療法、n=278、プラセボ+化学療法、n=281)
無作為割付けからデータカットオフまでの時間の中央値は56.9(範囲:49.9-66.2)ヶ月であった。OSとPFSは、ペムブロリズマブ+化学療法がプラセボ+化学療法に対してそれぞれ改善した。(ハザード比[95%CI]、0.71[0.59~0.85]、0.62[0.52~0.74])

5年OS率はそれぞれ18.4 vs 9.7%であった。毒性は管理可能であった。

ペムブロリズマブ35サイクルを完遂した55人の患者で、客観的奏効率は90.9%、3年OS率は(無作為割付から約5年後)は69.5%であった。ペムブロリズマブ+化学療法は、プラセボ+化学療法に対してOSおよびPFSの優位性を維持した、前治療歴のない転移性
扁平上皮NSCLCに対してPD-L1の発現に関係無く、標準的な1st lineでの治療選択肢である。

First-Line Pembrolizumab Plus Chemotherapy for Advanced Squamous NSCLC: Real-World Outcomes at U.S. Oncology Practices.

Introduction:

ペンブロリズマブ+(nab-)パクリタキセル(ペンブロリズマブ-化学療法)は最近では、前治療歴の無い扁平上皮NSCLCに承認され、推奨される全身化学療法となっている。この後方視的研究では、アメリカにおいて、実臨床でペンブロリズマブ-化学療法を1次治療で行った扁平上皮NSCLCに対するリアルワールドデータでの治療期間(rwToT)と全生存期間(OS)を評価した。

方法:

リアルワールドでのデータベースを用いて、成人の新たに診断された、進行または再発した扁平上皮NSCLC(切除不能なステージIIIB、IIIC、またはIV)で、2018年11月1日から2020年5月31日までにペムブロリズマブ-化学療法を開始したPS良好(ECOG-PS:0-1)の患者を対象とした。
カプランマイヤー法により、PD-L1発現に応じて、rwToTとOSを決定した。
データカットオフは2021年10月31日であった。

結論: 

対象患者364名のうち、243名(67%)は男性であった。
年齢中央値は70(範囲:43-84)歳、PD-L1発現が1%以上、1%未満、不明はそれぞれ172名(47%)、94名(26%)、98名(27%)であった。
ペムブロリズマブ-化学療法開始時からデータカットオフまでの期間は、26.2カ月であった。全体として、ペムブロリズマブのrwToTの中央値は、6.5ヶ月(95%信頼区間[CI]:5.6-7.6)で、12ヶ月および24ヶ月時点の治療継続率は29.3%および15.9%であった。
OS中央値は15.3カ月(95%CI:11.7-18.6)。12ヶ月および24ヶ月OS率はそれぞれ54.9%、37.3%であった。OS中央値はPD-L1発現に関係無く、PD-L1:1%以上で16.2ヶ月(95%CI:10.3-20.6)。1%未満で17.2ヶ月(95%CI:10.8-20.6)であった。

結論:

1次治療でペンブロリズマブー化学療法をPS良好な進行扁平上皮NSCLC患者に行う事で、rwToT、OSは臨床試験の結果と同等に近い結果となった。