地方の呼吸器内科医ブログ

呼吸器内科です。今は肺癌に関わる記事を中心に書いていく予定です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

Osimertinib PD後の2次治療に関して

FLAURA試験の結果を元にOsimertinibを1st lineから使用する事は標準的となっています。ただ、問題となるのはOsimertinibがPDとなった後の2nd line以降の治療戦略です。 肺癌診療ガイドラインでは、1st lineでOsimertinib PD後の2nd lineとしては「遺伝子変異…

吸入薬処方で考える様々な事。その1

COPD、喘息に関して治療の根幹は吸入薬である事に疑い様は無く、様々なエビデンスが創出されています。 ただ臨床試験での効果には、コンプライアンスが維持されている事が前提となる事と、実臨床で診ている患者と臨床試験で組み入れられた患者層が一致してい…

肺癌腔内照射

腔内照射と言えば、前立腺癌への小線源療法を思い浮かべる方が多いかもしれません。肺癌でも実は腔内照射は行われてはいます。 1922年に最初の肺癌への腔内照射の報告があります。現在はイリジウムが主流ですが、その当時はラドンを用いて硬性気管支鏡で行わ…

がん関連高カルシウム血症

肺癌診療でもしばしば、がん関連の高Ca血症は経験します。 最近NEJMに総説(N Engl J Med 2022;386:1443-51.)が出たので、要点を抜粋します。 key points - 様々ながんの経過で、がんの因子が正常なカルシウム及び骨代謝を圧倒することで高Ca血症を合併する…

Angiosarcoma 血管肉腫と肺転移

Angiosarcoma 血管肉腫は希な疾患ながら、悪性度の高い疾患として知られています。 2004 年までの解析で軟部肉腫の罹患率は 10 万人に 3.1 人で、軟部肉腫の4.1%を angiosarcoma が占め、50%が頭頸部に発症するとの事です。 頭部顔面発症例は予後不良で、…

肺癌とmultimorbidity

mutimorbidityは複数の慢性疾患を有する事ですが、特定の診断基準は無く、コンセンサスの得られた定義はありません。 ただ一般的には2つ以上の慢性疾患を併存している状態を指します。フィンランド、イタリア、オランダで行われた研究で65歳以上の男性に関し…

肺癌とPolypharmacyの関係

polypharmacyは老年医学では重要な問題として位置づけられています。5種類以上の内服をポリファーマシーと定義した時に高齢者の脆弱性や認知機能低下、転倒、薬剤有害事象が増えると言われています。(Journal of Clinical Epidemiology 65 (2012) 989e995) …

大量血胸の原因は?

症例80歳代女性。以前から転倒歴があるもののADLは自立。今回は転倒後に呼吸困難が悪化して救急要請となった。 胸部CTでは右大量胸水があり、右背側では濃度上昇あり。造影ではextravasationあり。右外傷性血気胸疑いながら、肋骨は陳旧性骨折が主体で明らか…

慢性咳嗽の問診~検査~診断的治療

慢性咳嗽では問診が重要な事に異論は無いと思われる。 問診を行うにもある程度鑑別疾患を想定しておく必要がある。 報告によって違いはあるが、慢性咳嗽の診断において頻度の多い疾患は、 ・咳喘息/気管支喘息 ・アトピー咳嗽 ・後鼻漏症候群 (もしくは、上…