奈良の呼吸器内科医ブログ

呼吸器内科です。今は肺癌に関わる記事を中心に書いていく予定です。

大量血胸の原因は?

症例80歳代女性。以前から転倒歴があるもののADLは自立。今回は転倒後に呼吸困難が悪化して救急要請となった。

胸部CTでは右大量胸水があり、右背側では濃度上昇あり。造影ではextravasationあり。右外傷性血気胸疑いながら、肋骨は陳旧性骨折が主体で明らかな新規の骨折はないか、あっても軽微な所見であった。

 

大量血胸の原因は?

 

 

 

 

血胸の原因としては、特発性血気胸や肋骨骨折、肺挫傷など臓器損傷がありますが、まれながら、椎体骨折に伴う血胸もあるみたいです。 

 

椎体骨折(チャンス骨折)を契機に生じた大量血胸の2例報告

SAGE Open Med Case Rep. 2018 Dec 20;6:2050313X18819617.

Traumatic hemothorax due to chance fracture requiring emergency surgical management: A report of two cases

 

症例1 81歳男性。屋根から転落して受傷した。右背側部の疼痛を訴えて救急搬送された。CTでは気胸なし、肋骨骨折はなし。ただ胸部CTで右血胸の指摘があったが、バイタルは安定していた。入院後に突然ショックバイタルになった。胸水増量していてトロッカー挿入で1330mlの血性排液あり。出血源確認と止血目的で胸部手術が行われて、Th7に横裂傷を伴う骨折あり。出血源と考えて、止血術施行されて、トロッカー挿入された。術後5日目にトロッカー抜去されて、再出血はなかった。

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症例2 

83歳女性。骨粗鬆症の既往あり。過去にも転倒歴あり。今回も転倒して背部を打撲した事から来院された。CTでL1圧迫骨折があり、脊椎固定術目的で入院となった。入院2日目にショックになり、画像検査で右血胸と診断された。輸血などでバイタルを安定させてた後にアンギオが施行された、右第一腰椎動脈からの出血が示されて塞栓術を施行された。

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教訓

骨粗鬆症を伴う様な高齢者で、肋骨骨折を伴わない(あっても軽微)で大量血胸(特に右側)を起こす時には、椎体骨折に伴う血胸も考慮する。