奈良の呼吸器内科医ブログ

呼吸器内科です。今は肺癌に関わる記事を中心に書いていく予定です。

Angiosarcoma 血管肉腫と肺転移

Angiosarcoma 血管肉腫は希な疾患ながら、悪性度の高い疾患として知られています。

2004 年までの解析で軟部肉腫の罹患率は 10 万人に 3.1 人で、軟部肉腫の4.1%を angiosarcoma が占め、50%が頭頸部に発症するとの事です。 

頭部顔面発症例は予後不良で、以下の特徴があるそうです。

① 高齢者の頭皮に好発

② 局所多発性

③ 進展が早い

④ 再発しやすい

⑤ 遠隔転移とくに肺転移をおこしやすい

⑥ 予後は極めて悪い 

 

日皮会誌:125(10),1871-1888,2015

 

5年生存率は概ね30~40%で、全生存期間の中央値は6~16ヶ月との事です。

転移しやすい臓器としては、肺や脳で胸膜転移や気胸の合併も多い事が知られています。

1978年から2014年にPubmedで掲載されていた、angiosarcomaに気胸を合併した症例が、21症例あり、16例が男性、5例が女性で男性に多く、angiosarcoma自体は様々な年齢で生じるものの、気胸合併例では高齢者が多かったとの事です。

CTでは嚢胞性病変を有する事が多い。(91%)

The Open Respiratory Medicine Journal, 2014, Volume 8 49

 

Ⅳ期で肺転移のある症例の治療方針は以下の通りです。(頭部血管肉腫診療ガイドラインより)

気胸を起こすという事は胸膜病変があり、ドレーン挿入しても自然治癒が期待出来ないという事だと思います。 

エアリークが遷延する症例においても、予後不良である事から外科的手術適応になれず、胸膜癒着を余儀なくされる事が多いのかと思われます。

上記ガイドラインでも早期に胸膜癒着術が勧められていて、血胸の原因となる胸膜近傍の腫瘍を抑制する目的でIL-2 ないし IL-2 誘導増殖腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の胸腔内投与による胸腔内免疫療法が実施されているとの事です。

 

化学療法としては、ドセタキセルやパクリタキセルなどのタキサン系の全身化学療法が行われる事が多く、放射線治療と組み合わせて3 年生存率は 42%であったと報告もあります。Skin Cancer, 24:377―384, 2009.

 

pazopanib はというVEGFR 経路、PDGFR 経路、およびc-kit リン酸化を阻害するマルチキナーゼ阻害薬も有効性が期待されています。J Clin Oncol 27: 
3126―3132, 2009. 二次治療以降で保険適応で使用可能との事です。