奈良の呼吸器内科医ブログ(仮)

呼吸器内科です。臨床に役立つ情報の共有を目指します。

睡眠時無呼吸症候群の治療(行動療法)

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療に関して概説します。

 

行動療法 

・減量

肥満がある患者に関しては減量が望ましいです。後述するCPAP療法だけよりもCPAPと減量を組み合わせる事でより血圧降下作用やインスリン抵抗性が改善したRCTがあります。(N Eng L Med 2014; 370 : 2265-75.) 

ただ注意すべきはどの程度の肥満があるかという事です、言うまでも無く欧米人のOSASは高度の肥満を合併している事が多いです。ですので先述したRCTでは日本人と比べてbase lineが異なります。先述のRCTでもBMI≧30が組み入れ基準となっていました。日本人では比較的骨性成分の減少(小顎症)が多いと言われています。

減量してもAHIが変わらないケースも多く、初診時やCPAP導入時などに説明すべきかと思われます。ただ日本人でも肥満はOSASの重要なリスク因子である事は変わりません。日本人の男性を対象とした研究で、BMI>25.9以上の対象者では50%以上がRDI(呼吸障害指数)>15以上であったとする報告もあります。(Sleep 31: 419-425,2008)  

 

(減量してもなぜAHIが減少しないのでしょうか。閉塞性睡眠時無呼吸を生じるにはいくつかの要因があります。その一つに解剖学的な影響があります。咽頭が狭いと、舌根沈下を起こしやすいくなります。咽頭が狭くなるのは、軟部組織の増加と骨性成分の減少があります。肥満は主に軟部組織の増加の原因になります。骨性成分が十分に保たれていれば、多少肥満で軟部組織が増えても無呼吸にはなりません。顎が小さく、骨性成分が減少していると、肥満が無くとも通常の軟部組織量で無呼吸になる事があります。その様な患者が日本人には多いと言われているので、減量して軟部組織量を減少させてもAHIが変わらないといった事が起こりえるのかと思われます。)

 

・節酒

飲酒は無呼吸の原因となりえます。仕事をしている世代の男性と女性を集めて飲酒が睡眠関連呼吸障害(SDB)のリスクになるかの研究があり、女性では優位差はありませんでしたが、男性ではOdds比1.25倍SDBが多かったとされています。 

無呼吸を診断された患者には節酒を勧めるべきかと思われます。

 

睡眠薬の使用制限/中止

睡眠薬特にベンゾジアゼピン系の薬剤は上気道の筋緊張低下や呼吸中枢を抑制して、無呼吸を助長する可能性があります。

12例の重症OSAS患者にトリアゾラム0.25mgとプラセボを比較してトリアゾラム群の方がnon-REM睡眠での無呼吸、低呼吸状態が延長して、最低SpO22も低下した報告(Am J Respir Crit Care Med 1995; 151: 450-454.) もあります。

不眠を伴うOSAS患者では睡眠剤では無く、まずCPAP導入が勧められます。その上でも不眠の訴えがありQOLを損なう患者には睡眠剤を考慮しましょう。その場合はまずラメルテオンやスボレキサントなどの睡眠相を改善させる薬剤の方が呼吸抑制を起こさず利にかなっていると思われます。一方で中等症のOSASですでにCPAPが導入されておればベンゾジアゼピンでもプラセボとのランダム化比較でAHIやSpO2に悪影響を及ぼさないとの報告も多数あります。(Drugs 2009;69:77-91.) 

まとめると

・不眠の訴えがあるOSAS患者 ⇒ CPAP導入

CPAP導入でも不眠あり ⇒ ラメルテオン or スボレキサント ± BZ系

となります。

 

次回はCPAP、口腔内装置に関してまとめてみます。