睡眠時無呼吸症候群の診断
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断基準はInternational classification of sleep disorders, 3rd edition(ICSD-3) で示された基準を用いる事が一般的となっている。(下記参照)
要点としては、以下3つの何れも閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断する。
①日中の眠気や不眠などの症状を有するか、他者から見て無呼吸やいびきなどがありかつ、AHI≧5である事。
②高血圧、糖尿病、脳卒中、冠動脈疾患、心房細動、うっ血性心不全などの疾患がありかつ、AHI≧5である事。
③症状に関わらず、AHI≧15である事。
ここでいうAHIはあくまでもPSG(終夜睡眠ポリソノグラフィー)を行った上で算出されるAHIである。
PSGは入院で行う事が一般的でコストの観点(検査のみで3割負担約1万4千円+入院や食事費用)や仕事をしている世代には時間的にも制限がかかる。
ややこしい事に閉塞性睡眠時無呼吸症候群診断基準とCPAP治療の保険適応でAHIの基準が異なる。
CPAPの保険適応は、
① 簡易検査でAHI≧40/hr
② PSG検査でAHI≧20/hr
を満たし日中の傾眠、起床時の頭痛(夜間の間に蓄積された二酸化炭素の影響と言われる)などの症状があり日常生活に支障を来している症例とされる。
ICSD-3でも簡易検査(OCST)でも診断は可能としている。
であるからして睡眠時無呼吸症候群を疑ったならまずは簡易検査を行う事が多い。費用も3割負担で3000円程度。
簡易検査はサチュレーションモニターとフローセンサーの付いた鼻カニュレと本体だけであり装用の負担は比較的少ない。
以下に睡眠時無呼吸症候群の診療ガイドライン2020に示されているフローチャートを示す。
簡易検査にも問題点はあり、AHIは(低呼吸+無呼吸/総睡眠時間)で示される。
PSGでは総睡眠時間も測定可能であるが、簡易検査では睡眠時間の測定が出来ない。
簡易検査でのAHIの分母は装着時間であり、AHIが過小評価される可能性もある。
簡易検査では3%ODIを代用する場合もある。ODI=SpO2低下回数/時間で表され、装着時間を分母にする。3%SpO2が低下するとSpO2低下とカウントするので、3%ODIと言います。
ただ3%ODIのSASの診断精度は高くは無くAHI5~30で感度52%、特異度76%という報告もあります。