呼吸器診断学 その2
前回診断学総論といった感じでしたが、今回からは”呼吸器”っぽい事をしていこうと思います。そもそも、この記事を書いていこうと思い立ったのは、呼吸器内科医としてよく相談されるケースに関して事前に答えを用意できる様にしておきたかったという事もあります。
以下、呼吸器内科に相談されやすい事リストです。(完全に私見ではありますが)
・胸部レントゲン or 胸部CTでの腫瘤陰影
・治らない肺炎
・両方の肺が真っ白
・片側優位の胸水
・術前呼吸機能が悪い
・慢性咳嗽
・血痰/喀血
・労作時呼吸困難が悪化している
・睡眠時無呼吸疑い
が挙げられます。勿論もっとあるかも知れませんが一つずつやっていこうと思います。
「胸部レントゲン or 胸部CTでの腫瘤陰影」
呼吸器内科医にはよくあるコンサルトと思います。
肺癌が疑わしい場合が多いですが、腫瘤陰影をどの様に診断していくでしょうか。
まずは、胸部CT所見から鑑別となる疾患を想起する事です。
腫瘤性病変の鑑別する上で大事なSQ(semantic qualifier)は、「単発性 vs 多発性」、「境界明瞭 vs 境界不明瞭」、「充実性 vs すりガラス vs 部分充実性」、「halo sign、reversed halo sign」
SQという感じではないですが、大事なワードとしては、スピキュラ、内部石灰化、空洞陰影などがあると思います。
単発性の肺結節の鑑別をマインドマップでまとめてみました。
こういう風に眺めると、大きく分けると「肺癌」「結核」「真菌症」「その他」と言った感じになるのではないでしょうか。
CT検診ガイドラインでは、原則腫瘤径が1cmを超える場合は確定診断を行う必要があります。
確定診断の方法には、主に下記3つがあります。
① 気管支鏡検査
② CTガイド下肺生検
③ 手術生検
それぞれの特徴をまとめてみました。
次に多発結節に関してですが、それは次回以降まとめていきます。