奈良の呼吸器内科医ブログ(仮)

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SMARCA4欠損腫瘍 

SMARCA4 欠損腫瘍(SMARCA4-deficient thoracic sarcoma)をご存じでしょうか。

2015年にLe Loarer らにより初めて報告された(Nat Genet 2015;47:1200-05)比較的新しい疾患概念です。SMARCA4はSWI/SNF複合体のサブユニットの1つであるBRG1蛋白をコードする遺伝子でこの不活化により癌化を起こすと言われています。SWI/SNF複合体は約15個のサブユニットから構成される蛋白複合体で癌抑制遺伝子の一つと考えられているみたいです。

稀な腫瘍と言われていますが、その臨床像は比較的特徴的です。

 

・喫煙歴がある

・若年発症 年齢27~82歳、中央値39歳 

・男性に多い

・気腫肺を有する

・縦隔側・肺門部から発生する

・病理所見では未分化成分が多くシート状に配列する

f:id:noboru-_-0913:20211014200522p:plainModern Pathology (2017) 30, 797–809

 

生存期間の中央値は 7 カ月と予後不良とされています。 

有効な化学療法は明確ではありません。

鑑別としては、小細胞肺癌や悪性リンパ腫があるかと思われます。 

 

小細胞肺癌の様な臨床像の割に発症が若年で男性の場合はSMARCA4DTSを想起する必要があるかもしれません。